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トラベルメイトトラベルメイト98

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「トラベルメイト98」
  1. 【 日本の海外旅行の歴史2 】

     お金さえあれば誰でもパスポートをとって海外に出かけられるようになったのは1964年の4月からです。それまでは調査とか学会、留学、移民などの正当とされる理由がなければ海外に出かけることはできなかったのです。以前には日本には観光旅行っぽいものはなかったかといえばそうでもなく。限りなく観光に近い留学とか、何の役にも立たない視察調査などいくらでも、コネとそれなりの額の金があればできた訳です。
     
     この時期金字塔のように輝く超ベストセラーがでました。小田実の「何でも見てやろう」です。(最初は河出書房新社からペーパーバックで出版、今は確か講談社文庫になっています。)
     この本は、アメリカ留学にいった彼が日本に帰国するとき直接日本へ帰るのではなく、船でヨーロッパに渡りそこから中近東インドを通って帰る途中の話をまとめたもので、1961年(まだ海外旅行は自由化になってません)に出版されました。
     
     これ以降60年代の後半まで、海外で個人旅行の旅行者が事故とかトラブルに巻き込まれると、「何でも見てやろう」を読んで無謀な無銭旅行を試みた若者が、とか最近この本のおかげで現地駐在の人に迷惑をかける旅行者が増えたなどと引用されるほど有名になった本です。私たちのようなちょっと古くから旅行関連をかじっているものにとっては、まあほとんど出発点、バイブルみたいなものです。はっきり言って、90年の後半になった今もこの本を越えるパワーと独創性を持った旅行記はありません。(60年代の旅行関連といえば「ドクトルマンボウ航海記」というのもあります。ちょっとパワーの点で軽いのですが、悪くはありません)
     
     いろいろな形は取っていますが、個人旅行者っぽい海外渡航者は1950年代後半からもう動き始めていました。ただほぼ100%選ばれた人たちが片手間にした旅行の側面は免れません。(小田実はフルブライト留学生、ドクトルマンボウこと北杜夫は船の乗り込みのお医者さん)
     これに反し団体旅行はもろ庶民がやっと手にした観光旅行だったのです。一口で言えばお伊勢参り海外版とでもいえましょうか。当然スタートは、1964年の4月からです。

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