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トラベルメイトトラベルメイト98

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「トラベルメイト98」
  1. 【  現実旅行編(18) 】

    【いよいよ本番の旅行中】

     肝心な本番中のことは、今の段階ではアドバイスはありません。前半の部分でも言ったように、惰性で日々動いているようなのもので、旅行中のハイテンションのレベルではあるのですがそれなりに安定した状態です。無理をしないで自分の実力以内のことを余裕を持ってすることくらいでしょうか、トラブルの少ない少しでも気分の良い旅するには。

     それに案外旅行中(出発とか帰国の時と、次の都市への移動などを除いた純粋の観光中と言う意味での旅行)のトラブルは立ち直れないくらいのものになることは多くありません。次の都市への移動などの動きがあるときに大きなものがどかっと来ます。日本を出てから最初の目的地に到着して第一日目まではもう案内しました。次に大事なものは、旅行最終日と帰国そして自分の家の玄関にはいるまでです。残念ながら旅行本番は優先順位が三番目ですからもっと後での説明になります。

    【サー帰るぞ】

     予定通りの日程を消化した人も、まだまだ旅行を続けたいのだけどもお金が無くなってしまった人も、事故とか病気でしょうがなくて帰る人も、帰る日は必ず来ます。ボヘミアンやってる人も来ては欲しくないでしょうが必ず来ます。

     インドで出家したお坊さんが言ってました。人間のくるぶしにはゴム紐がついていて片方の端は故郷にある杭に巻き付いている。その故郷は今あろうが無かろうが十四、五歳までかって暮らした場所と時間だそうです。一九七〇年に十四歳になるまで松本市に住んでいたなら、その人の杭は一九七〇年の松本市にあるわけです。そこからゴム紐を引きずりながらあちこちはいずり回るわけですが海外に出かけると特に距離と時間、なれない言葉等の関係で杭の位置からどんどん遠ざかります。

     遠ざかるにしたがいゴムの引っ張る力はだんだん強くなっていきます。切ろうとしてもなかなか切れるものではないし、逆に突然ブチンと切れてしまったり、思うようにはなかなか行きません。帰国前日は、ゴムの状態は本人がどう意識しているか別にして旅行中で一番強い緊張状態にあります。ゴムは引っ張りに引っ張られてもうパンパンになっています。一気に緊張を解いて帰ってしまうともう今は現実にはない原点にたたきつけられ、潜り込んでしまって動きがとれなくなってしまいます。

     時間的にたとえ数時間の航空便であっても、フリークライミングの降りるときのように慎重に手足を動かし岩壁から落ちないように気を付けなければなりません。ゆっくりゆっくり軟着陸をしなければなりません。

     海に深く潜ったとき安全に浮かび上がるにはゆっくりゆっくり時間を掛けて体を慣らしながら浮上します。場合によっては、減圧タンクまで必要かもしれません。

     旅行中のハイな気分は、水圧が掛かってくる深海にも似ています。ほとんどの人は旅行が終わったら、日常生活に帰っていくと思います。何十気圧の所から一気圧の所へゆっくり帰っていくのです。

     たぶんあなたは、何故旅行中より出発と帰国の時が全体のエネルギーの七十%を使うかが解ったと思います。旅行中などは惰性でスーと行ってしまうこともできるので二十%も有れば十分かなと言う気もします。その大変な帰国の前日から話を始めます。

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