「旅行記」
トラベルメイト
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リロとハツキの自転車旅行

 

VOL.39 インド(37) インドツーリングにおける補給食(葉月)

インド滞在中は、しっかり食べて、水分の補給もまめにすることだ。
この国の食物は、エネルギーが低いような気がする。たとえば米。大量に食べても胃に持たれない。二〜三時間もたてば、再び空腹になる。食後インドでのサイクリングは神経を使う。

人口は多い。交通量は多い。どこへ行っても誰かに見られているような気がする。実際、どこへ行っても人が集まってきて、五〜六〇人の人間に囲まれてしまうなんて、ざらなのである。はじめはそんな環境も楽しんでいられるが、毎日の事である。インド人にしてみれば私たちのような変人にめぐりあうのは、年に一度あるかどうかの、珍事である。好奇心の強い彼ら、こんな機会を逃すわけがない。自分の好奇心が満たされる迄、私たちを質問責めにする。質問者はかわっても、質問は同じ、答も同じ。このやりとりを行く先々で繰り返すのである。休息をしようと止まった時も例外ではない。それなら休まない方が良い?違うのだ。消耗していく体力を補うには食べるのが一番だ。先にも書いたように、インドの食物はエネルギーが低いらしい。二カ月位のバックパッキングを背負った旅でも目に見えてやせてくる。ましてやツーリングなど、食べるそばからエネルギーが消費されていくのがわかる。衰えていくのが体だけならまだよい。十分な栄養がとれないと、頭も神経も参ってくる。そうするとトラブルにあいやすくなり、トラブルにあった時、適切な判断ができなくなる。こうなると楽しいはずのサイクリングが苦行になり、果てはインドやインド人まで嫌いになってくる。  

お茶屋でスナックをつまむもよし、木陰で手持ちのビスケットやパンをかじるもよし。おなかがすく前に、こまめに食べる事だ。サドルの上でキャンディーを口にほうりこむのも良いだろう。インド国内人のいるところならどこにでもお茶屋はあるし、店が一軒あればバナナからビスケット、キャンディーと、何でも手にはいる。  

水分もこまめにとろう。渇いてしまったら手遅れだ。現在はよほどの田舎でない限り、どこでもミネラルウォーターが手に入る。一リットル一〇ルピー程度だ。他の清涼飲料水と比べると、格段に安い。水道水、井戸水を飲む場合はフィルターで漉すか、浄化剤を使った方が良いだろう。びん入りの清涼飲料水も色々ある。ペプシ、セブンアップ、コカコーラ、シトラ、ソーダ。びん詰めになっているから衛生的だろう式の考え方は、あたらない。  

気分転換に、炭酸のきいたものが飲みたくなる。はじめはペプシやセブンアップを好んで飲んでいたが、だんだん甘味が気になってきた。それでも炭酸の清涼感が欲しくて、ソーダを飲むようになった。もちろんびん詰めで王冠をかぶっている。ある時、コールドドリンクショップのカウンターごしに、不気味なノズルを見てしまった。これは何かと店の人に尋ねると、まさしく、炭酸ガスを吹き込むノズルだったのだ。ソーダの空きびんに水道水を詰め、このノズルで炭酸ガスを注入すると、立派なソーダ水ができあがってしまうのだ。王冠はもちろんリサイクル。彼の話によると、このあたりの店のソーダ水はすべて、ハンドメイドなんだそうだ。ケララ州の、ある町での話である。水道水はフィルターをかけたものだけを飲んでいたけれど、あとの祭である。ここに至るまで何本のソーダ水を飲んだことか。それでもおなかをこわすことなく、肝臓がやられることもなかった。以来、多少注意を払うようになったものの、ソーダ水も飲まなくなる事はなかった。  

ココヤシのジュースは衛生、栄養面から見ても完璧だ。あの殻を割るなたやストローが気になる人もいるかもしれないが。ストローだが、現在これをリサイクルしている店、屋台は皆無とみて良い。

インド式のミルクティーやミルクコーヒーも、良いエネルギー源になる。激甘だが、砂糖のせいで喉が渇くことはない。空腹がおさまり疲れもとれる。ミルクティーを飲みながらバダイをつまむスナックタイムは、単調になりがちはサイクリングにめりはりをつけてくれる。  

補足  

水道水、井戸水ばかりでなく、ミネラルウォーターも、そのミネラル成分が体に合わなくて下痢をすることがある。私はインド最大のブランド「ビズレリ」のミネラル分が合わなかったらしい。これを飲むと必ずおなかがゆるくなった。ところがこのビズレリ、東海岸と西海岸で売っている物の中身が違うらしい。ゴアにいた時はひんぱんに調子悪くなっていたが、カルカッタではまったく平気だった。それとも四ヶ月の滞在で体がミネラル分に順応したのだろうか。

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