トラベルメイト Top page へ戻る

トラベルメイト片山くんが行く

<<前のページ  次のページ>>

  1. 【 片山くんが行く(3) 】

    私「いやシベリア回りのコースもう申し込んであります。後は帰りの料金が10万ちょっとですから、予算は残り15万ちょっとあります。無銭旅行するつもりですから3ヶ月以上は滞在できますヨーロッパ全土は回れます。」

    本当は申込金だけしか旅行会社に払ってませんから、帰りのシベリア回りの運賃と行きのシベリア回りの残金を25万円から差し引けば、ほんの3万円か4万円しか残りません。
    黙ってりゃわからないことです。

    係り員「この書類、北アフリカの国もアメリカ合衆国も渡航先になってます。15万円では不足です。ヨーロッパの北欧含めて数カ国に渡航先を直すか、残高がもっと多い証明書を持ってきてください。」

    普通ですと、「向こうで働いて滞在費を稼ぎますから、これで十分です」と言いたくなります。その辺りは、何冊か読んだ「無銭旅行の薦め」の本で勘が働くようになっていました。公的な書類を申請するところで、絶対現地で働くから大丈夫と言ってはならない。
    旅行者がなんの技術もなくて働くとしたら潜りのアルバイトしか有りませんから、いくら簡単にそれで金が稼げる渡航先であっても、公的な機関では潜りのアルバイトでお金を稼ぐ予定など認められないのです。正式な労働許可証か、現金の残高証明しか役には立ちません。

    私「でも大丈夫です、友人と一緒に行きますので部屋代も半分だし何かと安くつきます。それにもし現地でアメリカとか、アフリカに行きたくなったらまたパスポート新しくしないといけないじゃないですか。」

    係り員「あなた申請するのは数次パスポートですよね、じゃあ東ドイツとか中国以外はビザさえ有れば入れますから、いったん渡航予定国を減らして申請してください。」

    私「そうです、だから、ここに丸をつけた国は行ってみたい所ですから数次パスポートにしたのです。前もって日本で申請しておきたいのです。」

    係り員「ここで申請するのは、パスポートだけです。現地でその国に入れるかどうかは、出発前に日本の各国の大使館に来てみてください。東欧以外ならビザなしでたぶん入れますから。」

    私「いや、でも、前もって日本で申請しておかないとその国には行けないでしょう。」

    係り員「数次のパスポートは、東ドイツなどの4カ国以外は行けるパスポートですから、申請しなくとも大丈夫です。」

    私「さっき、その国に入れるかどうかは前もって大使館に聞けとおっしゃったじゃないですか。この数次を持っていたら、その4カ国以外日本で申請していかなくても絶対行けるんですか?」

    係り員「行けるかどうかはその国によって違います。東ヨーロッパ以外はたぶん大丈夫です。」

    私「そうでしょ、あまり確実ではないので日本で申請しておきたいのです。エーと、じゃあ、東ヨーロッパの国を消せばいいですか」

    係り員「.......。」

    今ならなぜ書類が通らなかったかよく分かります。
    係り員が言ってることは、「数次パスポートは、中国、北朝鮮、東ドイツ、南アフリカ以外は、相手国の入国許可証のビザさえ有れば旅行できる」私が頼んでることは「数次パスポートの渡航可能国に、申請所に丸を着けた国全部を書き込んでおいてほしい」はっきり言って私、ビザとパスポートの違いもあまり定かではありませんでした。それに、数次パスポートは日本と国交のない4カ国以外は全部渡航可能国になっているなんてことは知りませんでした。

    係り員はこう言ってくれれば私も理解できました。

    「ノルウエー一カ国の申請でも、香港一カ国の申請でも、出来てくるパスポートは皆同じで、国交のない4カ国以外渡航可能な物が出来てくる。極端なこと言えば、香港渡航で数次パスポートを申請して、パスポートができあがった後に気分が変わってノルウエーに旅行しても全然問題ない。ただし、旅行先で日本人にビザを必要とする国へ行くときはその都度その国の大使館でビザをとってからでないと入国できない。」
    立場上しかも公衆の面前で彼はこうはいえません。私も理解するにはあまりにも知識不足でした。

    しばらく押し問答を続けましたが、係り員申請書を書き直すか、残高証明をもっと多い物に代えてくれの一点張り。残高証明を多い物に代えるのは不可能ですから、申請書を書き直すしか有りません。北欧の数カ国に渡航先を絞り込んだ申請書を新しく書き直してやっと申請が終わりました。それはただ申請が終わっただけで、私にとっては要求通りの申請ではありませんでした。すごく不安でした。どんなパスポートができあがってくるのか皆目見当がつきませんでした。(今から思えばこれでよかったのですけども)

    どうしても納得がいきませんので、実際に旅行にでたことのある人や旅行会社に聞きましたが、それまでは一次旅券しかなくて、いちいち渡航先を書き込んでもらわないとその国へ行くことどころか、日本でその国のビザの申請さえ出来ない時代が続いていましたので数次旅券への情報があまりありません。そんな物使ったことない人が大半でした。
    一次パスポートしか使ったことのない人からの詳しい情報は、詳しい故によけい私を混乱に陥らせました。

    混乱に陥っても不安であっても申請したとおりにパスポートはできあがってきます。実際パスポートを取りに行って、現物を見て、相談窓口で内容を聞いてやっと納得しました。「このパスポートはすべての国に有効、但し下記の国を除く、中国本土、、東ドイツ、北ベトナム、北朝鮮」(正確にこういう文章だったかは自信がもてませんがこんな感じでした)

    「何だよ、数次パスポートは行く先が指定されないんだ、じゃあ申請の時渡航先など書く必要がないわけじゃん。」と一人ぶつぶつ言っておりました。

<<前のページ  次のページ>>

↑ページ最上部