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vol.052 タイ・バンコク (18) タイソングリートの「序列」

 

土曜日、朝からやることないので、パッポン通り近辺をうろうろしました。航空会社も集まっている場所なので何かとお世話になりそうな場所です。夜はここいら歓楽街なのですが、土曜日の午前中は何とも間の抜けた雰囲気の所です。  

ちょっと歩いてデュシタニホテルの裏っ側にはマレーシアホテルがあり、今のようには多くはありませんでしたが安売りの航空券売っている旅行会社がありま した。インド行きの航空券は、ビルマ航空のカルカッタ便が一番安く、そのかわりラングーンで乗り換えなければなりませんでした。急ぎの旅行なら最低一日以 上の乗り継ぎのための滞在は致命的な欠陥でしょうが、私にとってはラングーンも寄れる最高な航空券でした。ラオスから帰ったらさっそく何件か旅行会社を回って、ビルマ航空の値段を調べることにしました。  

夕方までにちょっと時間があります。こういう暇なときには暇な連中がいるところへ行くに限ります。地図を見るとチュラルンコン大学と言う大きそうなキャンパスがラマ4世通りの近くにあります。そこへ行ってみることにしました。  

今まで私はバンコックではほとんどが、タイソングリート近辺が生活圏でした。ここは、新宿の大久保ハウスと一緒で一般の人はほとんどよりつかず、海外旅行中の貧乏旅行者が入れ替わり立ち替わり出入りしており、彼ら相手の商売人しか いませんでしたし、一種の租界状態の所でした。  

レストランのコックの親父、ボーイが数人、出入りの食料品売りの業者、パンパン、オカマ、現地の人達と言えばその程度でした。ちっとも普通の人はいません。たまに、変わった連中が紛れ込むことがありました。  

外国人大好きのタイのぶっ飛んでる学生とか、ライター崩れ(だと思います?)が、レストランのテーブルに座り込んでコーヒーいっぱいで数時間粘りながら外国の香りを吸収しようと意気込んでいました。彼らの中には常連らしいのもいて、何人かの旅行者の顔見知りだったりしてます。  

タイ人の中には女の子連れで来るのもいました。男の方は決まってなかなかのかっこよさで決めており、女の子の方もそれに釣り合ってGパンに洗い晒しの綿のシャツであっても育ちの良さと知性があふれているようなしゃきっとした人達 でした。  

ここに泊まってる旅行者も自ずから序列が出来ており、一番なのは旅慣れていながら不潔感と生活疲れのない体格のいい白人、(ちょっと中年の渋いヘミングウエイのような髭面の旅行者なども歓迎されてました)それから普通の白人、色物としての人気の黒人、女の子のグループ(この頃女の子だけで個人旅行しているのは白人だけでした)、誰も旅行者がいないときのスペアとしての東洋人(つまり私達)。  

ましてや日本出てまだ一ヶ月にもならない私など、番外の番外でした。タイの新しい物好きの人達は忠実に旅行者の序列をたどって話しかけてきます。とても私達まで会話の順番が来ません。というより最初から彼ら先進な人達の視野に入っていません。私らに話しかけてくるのは酔っぱらって来る連中とか、ほかで全然相手にされなくて仕方なく人の良さそうな笑顔見せている私らに話しかけてくる、ちょっと暗めの学生(必ず一人か、友人の同じようなタイプのむさい男子学生と2人)とかあまり歓迎したくない人達でした。