vol.055　タイ・バンコク (21) 　ターゲット捕捉

時間はどんどん経っていきます。学生も構内から少しずつ人数が減っていきます。ベンチに座って地図を広げてみたり、手帳に今後の予定を書き込んでみたり、暇つぶしと小さなアピールをしてみたのですが状況は少しも変わりません。 時間ももうすぐ３時を過ぎようとしています。日はまだ傾いてはいませんが、心もち涼しくなってきたようです。

「よいしょ」 　

かけ声かけて、ベンチから立ち上がり今日最後のトライをするつもりです。やはり今日は女の子に声かけるのはハードすぎます。男子学生の方が簡単です。ターゲットを変更することにしました。 　

２，３０ｍ先のベンチで笑いながら話をしている２人組の男子学生がいます。 もう彼らしかいません。ノルマはノルマです絶対今日は話しかけねばならないの です。

「ハーイ、イズ、ディス、エンプティ」
ベンチの端指さしながら聞きました。

「．．．．。」
彼らびっくりしたようで、きょとんとしてこっちを見上げました。 　

顔が引きつってくるのが自分でもわかります。鼻の下を右手で擦りながらもう 一度聞きました。
「キャン、アイ、シット、ディスベンチ」
「イエス、プリーズ」

それからは私は一気に喋りました。
「アイム、フローム、ジャパン」
「アイアム、ジャパニーズ、ステューデント」
「アイアム、ゴーイング、ツー、ラオス、マレーシア、シンガポール、アンド、ファイナル、ディスティネーション、インディア」