| vol.067 タイ・バンコク (33) トムと船頭が言い争う
   川縁の船着き場へボートは近づいていきます。突然トムと船頭の言い争いの声が聞こえてきました。タイ語なので何を言っているのかよく解りません。ジミーは黙って2人のやりとりを聞いています。 
                    私も何が起こったのかよく解りません。ぽかんとして2人のやりとりをただ聞くだけでした。 船頭とトムは小づき合いを始めました。やっとジミーが2人の中に割って入りました。 
                    もめ事はいっこうに収まりそうにありません。タイ語での言い争いは続いています。トムがポケットからバーツのお札を出して船頭に渡しました。ジミーも渋々ポケットを探って何バーツか払ったようです。 
                   どうも船のチャーター料でもめているようです。  私「何が起こったんだい。」 ジミー「最初に言われた値段と違うんだ、今お金の持ち合わせあるかい?」
 なんだよ、ちゃんとしろよなとは思ったのですがお世話になってる手前そんなこといえません。  私「何バーツだよ。」 ジミー「バーツじゃない。ドルだよドル。200ドル。」
 私「一時間ちょっとだぜ。200ドルも必要かよ。」
 ジミー「チャーターだから半日分も一時間も料金一緒だそうだ。最初一時間150バーツだと聞いていたけど」
 私「じゃあそれだけ払えばいいじゃない、」
 ジミー「いや、料金は交渉するけど下がりそうにない。今私とトムの持ってる時計も預けるけど、君も少しかねだしてくれないか、後できっと返すから。」
 私「今バーツ、あまりないよ、。」
 そのとき私はバーツは50バーツちょっとしか持ち合わせがありませんでした。 ジミー「日本円があったよね、あれで良いよ、船代全部にはならないけど、今のところはそれで払うしか方法がない。」 
                   ジミーは私の時計ちらっと見ながら言いました。 わたしの時計は高校入学したときに親父が買ってくれたシチズンの自動巻のものでした。自慢じゃないけど一目で金目のものではないとわかる時計でした。高校大学通して7年も使っています。メッキもあちこち剥げてます。 
                   私「あれは、日本へ帰ってから使う予定の緊急用のお金だ、今ここで使いたくないよ。」 ジミー「それは困る、金払わないとボート降ろしてくれない。」
 気がつくといつの間にかボートは岸から離れ河の中心に向かって微速で前進しています。岸からはもう50m以上離れています。河から見る岸部の道路は人通りはほとんどありません。 
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