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田森くんは西へ Index page へ

vol.090 ラオス (12)

間組の事務所へいったのは12時前になっていました。

幸いなことに日本人のスタッフが一人いました。私たちの方を見て一瞬、けげんそうな顔になりました。  
たぶんラオスなどに、そうは個人の旅行者は来ません。でも私たちは見るからに日本人の学生の旅行者です。何だろうと誰でも思います。珍しさ半分、面倒なこと頼んでくるんではないかという警戒半分だったろうと思います。  

実は私も少し腰が引けていたのです。というのは、バンコックで某商社の事務所へラオスへ行く前に荷物を預かってもらいに行ったのですが、非常に丁寧だけど暖かくない扱いを受けていたのです。  

まあ、もっともあの石垣島の食堂の親父の紹介で、従兄弟の奥さんの弟だかがバンコックの一流商社の駐在員にいるから困ったら訪ねていけば絶対に歓迎してくれると言われて訪ねたのでありますが、先方にしてみれば「このくそ忙しいの にしょうがねーな」の感覚はあったと思います。  

ここはそれ以上に何の紹介もなく同じ日本人だと言うだけで、旅行の情報を聞 きに行ったわけですから、「あんたら、このくそ忙しいのに常識外れだよ」と言われても文句言えないとこです。

私「すみません、僕ら日本からの旅行者なんですが、ここの旅行の情報少なくて困ってます、もしお忙しくなければちょっと教えてもらえませんか。」
「あ、そう。バンコックから?」  

お、これは乗りが良さそうな人です。

私「ええ、昨日着いたばかりなんですけど。」
「ふーん。」  
一呼吸有りました。

「そこの椅子に座ってちょっと待っててね、これだけ終わらせるから。」
私「ええ、ありがとうございます。」  

彼は日本語と、たぶん現地の言葉をミックスにして部下に指示を出しています。

「おっ、君たちなにか飲む?コーヒーで良いかな。インスタントだけど。」
「あっ、ありがとうございます。」
二人同時に答えました。