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田森くんは西へ Index page へ

vol.105 ラオス (27)

関崎「トッケーはここでは部屋のほうには出ないね。第一餌のネズミ、普通の部屋の天井にはいないからね。」
私「そうですか、安心しました。」  

実は、話を作っていて私も少しこわくなっていたのです。朝、目あけたら、顔の上に蛇がどぐろ巻いていて、生臭い息等「ふっ」と掛けられたら、失禁してしまうかもしれません。  
それに、南国のジャングルに住む蛇ですから、日本の大型蛇青大将のように地味な青磁の色ではないでしょう。きっと極彩色の蛇に違いありません。

「トッケー、トッケー、トッケー、トッケー、トッケ、グルル。」

また、トッケーが鳴きました。さっきよりはっきり「トッケー」と聞こえました。名前がトッケーだと教えてもらったからかも知れません。

中村「トッケーと鳴くのは何回ぐらい続けて鳴くんですか。」
永井「うまいのになると、5、6回かな、なき方にもうまい下手があって、下手なのになると、一回もトッケーと言はないうちに、終わってしまうのもいる。」
中村「最後の、グルルと言うのが息が続かなくなったときですか?」
永井「そうだよ、一回目からグルルで終わってしまうのもいるがね。今日来てるのはまあまあかな。」
永井「さーて、今日はこれくらいでお開きにして、風呂でも入るかね。」  

風呂、なつかしい言葉です。沖縄出てからずーと暑いお湯のお風呂に入ったことありません。せいぜいお湯の出るシャワーがいいとこです。バンコックではずっと水のシャワーです。ビエンチャンでは高いホテルだったので、お湯の出るシャワーでした。でもお湯のたっぷり入った風呂桶の中に体を沈める贅沢は最近味わっていません。

すぐ私たち部屋に帰って下着の替えをリュックの中から出すとお風呂場に急ぎました。一ヶ月ぶりほどで入るお風呂は天国でした。タオルを頭の上にのっける温泉スタイルで顔から汗が噴き出すまで湯船の中に浸かっていました。

永井「私にも、ちょうど君らくらいの息子がいてね、東京の大学にいるんだけど。一回旅行に、こちらへこいっていってるんだけどね、海外旅行に興味ないらしくて。」
中村「そうですか、何年生なんですか。」
永井「うーん、確か2年生になったかな。高校生くらいになると、親の都合であちこち回るわけに行かなくなってくるからね。息子が高校生になってからは、現場は私だけの赴任ですよ。」
中村「三年生になれば皆海外旅行に出たがりますから、息子さんもきっと出かけてきますよ。」
永井「そうだなー。まあ、海外無銭旅行くらい男の子なら一回やってみなくちゃいかんけどな。」

遠い目で窓の外を見ながら永井さんつぶやきました。 トッケーが、食堂のほうで鳴いています。今度は5回「トッケー」が続きました。