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田森くんは西へ Index page へ

vol.126 マレー半島南下 (11)

それにしても、外国人の(もちろんここでは、日本国内で使われる意味での外国人です)長期旅行者のかっこいいヤツが多いこと、女の旅行者はこの頃はあまり多くはありませんでしたし、いたとしても、いかついかんじの人が多かった です。旅行者が板に付いてる人はほとんどいませんでしたが、男に関しては、長髪で髭面、ジュート製の肩掛けのずだ袋、クルタピジャマとか、ルンギーを着て、革のサンダルかホーチミンサンダル、あるいはスキンヘッドにごっつい体格、 おまえらすごいぜ、といいたくなるようなヤツちらほら見かけました。

この夜、ペナンで見かけた2人ずれの男はなかなか旅行慣れした連中でした。その後会った人で、もっともっと旅行者旅行者してた人もいました。年の頃60代前半、白人、額から頭のてっぺんは禿げ上がっており、身長175CMくらい、 体格がっしり、まん丸な眼鏡をかけて、顔の下半分は髭面、目は落ち着いた茶色の目、インドのクルタを着こなし、サンダルはBATAの革製、そして彼は、バザール前の広場に座って、ストリートチルドレンの一人と何か喋ってました。もう夕方で、風は涼しくなり、ガキの薄汚れた垢だらけの顔も西日に照らされて 赤みがさしています。 思わず私は、おやじさんに聞きました。

「写真撮っていい?」
「ああいいよ!この子も一緒にとるんだろ?」
「えっ!」

かっこいいのはおやじさんの方で、ガキはホントに垢だらけのすすけた顔してま した。 しかしそう言われて、よく見ると、2人でもなかなかいい、絵になってます。

「も、もちろん!」
10枚以上シャッターを切りました。

「そんなにとるのかい?」
「ええ、いい写真取れたと思います。ありがとう。」
この時私の持っていたカメラは、オリンパスのペンD−3でした。もう少しいいカメラもっていたらと今でも思っています。

「写真出来たら送ってくれるかい?」
「後一ヶ月くらいで日本へ帰りますから、それからでいいですか?その時ここにまだいますか。」
「後3ヶ月はカトマンズにいる予定だから、中央郵便局気付けで送ってくれれば  受け取れる。私の名前書いておくから。」

そうです、このおやじと会ったのは、ペナンの夜から2ヶ月後のネパールです。

「日本へ帰ったら、すぐ送りますから。」

その後何ヶ月か経って日本へ帰れたのですが、予定が大幅に遅れ、この時もらっ たメモもなくし、撮ったフィルムもかびが生えて現像もできない状態になってしまいました。 今でこそ熟年の海外旅行が当たり前になってきて、個人旅行者も増えてきていますが、この頃は、日本人の熟年個人旅行者など、数ヶ月の旅行中一度もあったこ とありませんでした。パッケージツアーとか、仕事で駐在してる人にはあったことはありますが。 まして、クルタが似合って、バザールに夕方西日を浴びて座ってる日本人の60代、いるはずありません。