ビルマ(ミャンマー) (03)
 
1時過ぎるとますます暑くなってきました。天井には扇風機が回っていますが暑さには何の役にも立ちません。窓の外は相も変わらず乾燥した大地に、申し訳程度の茶色っぽい植物がへばりついているだけです。それはちょうど一枚の巨大な日干し煉瓦の上を、列車が走っているような風景でした。  
「暑い」  
3人ともこれしか言う言葉がありません。普通なら今までの旅行の話とかこれからの予定なんて話題が会話の中に出てくるはずですが、この暑さでは会話自体がかったるくて続きません。  
目を開けていると埃が吹き込んで来ます。列車の乗客の大部分が目を閉じてお昼寝です。  
食欲は湧かないのですが、腹が減ってきました。食べたくないのですが、満腹ではありません。 
私 「高田さんおなか空いてないけど何か食べませんか?」 
「そうだな、こんなバナナも食べ飽きたし、何か腹に入れておかないとマンダレーに着いてからホテル探しも出来ないな。池野さんあんたも食べるか。」 
池野さんタオルでマスクしてうたた寝中でした。顔は窓側に向けていたため埃で髪が真っ白です。 
「お、お、なに、飯?、俺はいいよ」 
半眼のまま彼は答えました。 
次の停車の時、バナナの皮でくるまれた弁当を買いました。一個1,8チャット高いのか安いのかわかりません。中身はエビカレーならぬザリガニのカレー煮とお米。  
列車に帰ってから気がついたのですが、箸が付いていません。高田さんは荷物の中からアーミーナイフ持ち出して、中からフォークを引っ張り出しました。  
私は、そんな気の利いたもの持っていません。仕方ないので手で食べ始めました。何インドへの予行演習だと思えばどって事はありません。 
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