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病の細道

 

第6回 眼底検査 (2001/12/29)

 

目の検査といえばまず視力検査だが、これは直接に目の中を調べるわけではないので、どうということはない。しかし眼底をカメラで撮影するというとやはりただごとではない。

糖尿病は糖尿性網膜症という目の合併症が起こる。場合によっては視力を失うこともあり、失明全体に占める割合も高いらしい。

年齢的に老眼への変化ということもあるが、ここ一年半で大きな変化といえばガチャ目になってきたことだ。普通、視力が落ちるのは両眼同時に起こる。しかし左目だけが見にくくなって視力が落ちた。右目はどちらかといえば視力が良くなったような気もする。

コンピュータなどをやるうえで、ガチャ目であることはあんまり気にならないのだが、段差や階段の下りは距離感がつかめなくって少し不自由だ。

視力検査の結果は思わぬものだった。両眼とも強制視力は同じ程度で、左目の視力の低下そのものは眼球の中ににごりがあり、その位置が悪くものを見えにくくしているらしい。それを除去すれば回復も望めるということらしい。

本格的な眼底検査をやることになった。血管に造影剤を注入しカメラ撮影をする。検査にあたって何度も副作用について説明があり誓約書を書かされた。何かものものしい。と同時にどんなことをするのか興味もわいてきた。

造影剤は点滴で注入される。現在点滴中なのでこれはどうということはない。20分ほどしてから撮影がはじまった。装置は普通の目の検査の機械と同じで、あごを台にのせて額を固定し、レンズを通して向かい側の医師が目をのぞく。機械にはカメラが付いている。これは顕微鏡や望遠鏡と同じだ。

室内が暗くされ、看護婦さんが頭を後ろから押さえつけ、まばたきしないように指でまぶたを開き、身動きとれなくなった。目の前には丸く白い1センチくらいのスポットがあり、いきなりフラッシュがたかた。ショックを感じた。押さえつけられていなければのけぞってしまったに違いない。

これは拷問の機械か?

どっと疲れを感じた。中断してもらおうかとも思った。しかし医師はそんなことは先刻承知。患者にそんな余裕を与えない。いろいろ角度を変えて連写していく。一眼レフのシャッター音とフィルムの巻き上げる音がつづく。
ひとつの目で20枚ぐらい撮影した。

驚くべきことにだんだん慣れてくると恐怖が快感にかわってきた。ここはディスコか、おおスゲエ、もっとやって、なんていうとんでもない気分になってきたときに検査が終わった。室内が明るくなると回りの景色はピンク色だった。人生バラ色。しかし3分で消失、もとに戻った。

視力といえばインド人の目はいい。こちらには全然見えないものの説明をされてびっくりしたことが何度もある。日本人はメガネをかけているのが相場だが、メガネのインド人は少ない。アフリカのように経済的にメガネを買えないというような事情もあるのかもしれないが、民族による視力の違いというのもあるような気がする。

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