[vol.04]
7月30日(木)広島〜三次〜松江〜鳥取〜岩美町

旅先からメールを送ることを約束して広島を出発。三次までは仕事ついでに磯辺さんに送ってもらった。松江に向かってヒッチ再開。雨がパラパラしていたが順調。中国山地をこえる。途中竹下登の実家があったが道はけわしくけっしてよいとは言えない。角栄みたいにはいかないのだろうか。

日本海側に下り宍道湖に出た。左に行けば20kたらずで出雲だ。さすが神話の里だけあって風景もそんな風にみえる。このあたりは温泉が多い。宍道湖は生水と海水が混じるらしく複雑に入り組んだ地形をしている。あちこちにいろんな神様が宿るわけだ。

松江にはいり、9号線を東に米子、鳥取をめざす。できれば鳥取の20k先の温泉町までいきたいがかなり距離があり無理か。風太には鳥取砂丘も見せておきたかった。幸い2台目に京都に行くレンタカーの回送車に拾ってもらい一気に鳥取砂丘までたどりついた。

砂丘は思ったより小さく、少々落胆。年々小さくなっているらしい。川に人家ができて砂の流量が減っているという。ここでは砂漠化の反対の現象が起きているのだろうか。風太が砂の丘をこえ海まで行っているあいだベンチに横になり砂丘のたそがれを楽しんだ。

晩は湯村温泉まで行こうと思ったが暗くなり、結局途中の岩美町のパーキングで寝ることにした。ここでまたヒッチの不思議がまっていた。函館から歩いているという60過ぎの行者にあった。

行者といっても、ハイキング仕様。阪神ファンらしく阪神の野球帽をかぶり携帯ラジオで中継放送をきいていた。以前、寺の住職だったらしいが、他人の業を引き受け歩いているという。心臓が悪く、ガンもあり、覚悟してのことらしい。話は正確でとてもハッタリではなっかった。こういう人のことを本当の行者というのだろうと思った。

昼は暑いから歩けないといって夜11時にパーキングを出ていった。今晩中に鳥取まで行くという。彼が横になっていたベンチに横になり、しばらくその人の生き方を想像してとてもかなわないような気がした。どうか果てるまで歩きつずけてくださいと願わざるをえなかった。

 

Copyright(C)1999 小島春彦