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「トラベルメイト98」
  1. 【 航空券(8) 】

     どんな商品でも同じですが、レディメードは安く付き、オーダーメードは高く付きます。さらにマニアになると自作と言う手もあります。旅行に当てはめると、レディメードは主催旅行パッケージで、オーダーメードは手配旅行パッケージです。自由旅行というのが自作です。旅行の商品にもこれはそのまま当てはまります。

     ところが今までのガイドブックとか雑誌の記事は「安くて、自由で気ままな個人旅行」「自由が利かず高くて面白くない団体パッケージ」の2種類のステレオタイプが大部分です。商品の中で自作と言うジャンルはあまりにもマニアックなものなので一般的なレベルでは特殊なものとしてそうは重要視されません。とするとレディメードが「自由が利かず高くて面白くない団体パッケージ。」に対応して、オーダーメードが「安くて、自由で気ままな個人旅行」に対応するのでしょうか。何かしっくりしません。

     レディメードが「自由が利かず高くて面白くない団体パッケージ」かなとは想像ができます。オーダーメードが「安くて、自由で気ままな個人旅行」とはどうしても思えません。「個人旅行」の部分だけを取り出せばオーダーメードのイメージは連想できますが、オーダーメードは高く付くはずですし、旅行の商品に限って言えばオーダーメードでわざわざ手配を頼んだものを現地で気ままに日程変更するはずがありませんし。

     どうも「安くて気ままな個人旅行」は自作の商品のイメージに一番近いようです。最近の日本では、オーダーメードもレディメイドもしない自作ものは特殊なジャンルに入りますし全体に占める割合はそうは多くはありません。旅行も同じです。

     昔に比べれば、自作旅行派はかなり人数は増えてきていますが、やはり一般的と言うよりマニアに近いものがあります。航空券(4)でコンピューターの自作にたとえてお話ししましたが、マニアになるにはなかなか大変です。多大な時間とコストがかかります。自作は、その商品に慣れた職人さんが作るのではなく、慣れない自分が作るため最初は必ず失敗します。次には成功するかもしれませんが、たぶんその次には失敗するでしょう。そうしていきながらだんだん慣れて失敗の回数が減ってきます。

     マニアの人達は失敗と成功の繰り返しを文字通り何十回も体験してきています。その基礎があって初めて、「安くて自由で気ままな旅」ができてるわけです。そしてどんな職業に今就いていても、どんなところにいたとしても彼らは常に頭の中は次の旅行のためにどう休暇を取ろうか、予算をどこからひねり出そうか四六時中考えています。寝てるときだって「夢のような話」を、夢に見ています。ほとんどの人が。アドレナリン中毒症にかかるくらいわくわくしたがっています。極端な話、危ない話ほど旅行のスパイス化して来るのです。***危ない話と言っても、どう用心しても準備を完璧にしても偶然起こることが前提となります。リーサルウエポンのメルギブソンのように自ら危ない話に飛び込んでいくのは体がいくつあってもたまりません。それに前もって危険が来ると言うことがわかっていると、マニアは燃えません。偶然飛び込んでくるのが”当たり”なのです。お化け屋敷だって、前もってわかっているより予測できない方が面白いでしょう***

     こういうマニアが多いのはどこか知っていますか?このFWORLDTにも多いかもしれません。旅行業界にも航空業界にも多いでしょう。(ここいらは、マニアと言うより商売で毎日旅行関係やってる人達ですから職人と言った方が当たってますが)もっともっと多いところ。それは、旅行関連のライター、作家、写真家等が住む世界です。逆にマニアチックな部分がなければ、そう高くはない不十分な原稿料、撮影料、でやってられません。そう安全でもありませんしね。30才過ぎても食えてない人はやはりいったん、自分の今後の人生を考えてしまう世界なのです。

      そういう彼らが書くことは、「安くて自由な気ままな旅」のイメージです。彼らなら取材の瞬間はそう思うことも可能ですし、実際その瞬間だけはそうでしょう。あとはスポンサー(通常は出版社)が大まかな絵コンテを描いてそれに肉付けする形でイメージを作っていきます。

     イメージは現実そのものではありません。現実の身も蓋もない事実などそんなもの誰も読まないからです。「あんたら、どうやっても慣れてなくて初心者だから安くて良い旅なんかでけへんよ」と言われるより「こんな工夫で安く良い旅ができる」とか「お金がなかったためよけい現地の人とふれ旅ができた」と書いてもらった方が気分いいじゃないですか。ならばもっとうまい話を作ってしまえば、もっと受けるかというとそうは甘くはありません。現実とかけ離れた創作は、嘘っぽくえらく濃い話に見えますので、最近の目が肥えた人達にはいやがられます。

     こういううまくコントロールされたイメージは、書斎で読んでるだけならこれでも十分現実的に思えます。しかしいったん旅行に出かけるときに、このイメージで出発すると手痛いしっぺ返しを現実から受けてしまいます。このイメージで動けるのはこれらを書いたり作った人達だけで、これを読んで自分もできると思いこんだ初心者には酷な結果になりがちです。(かっての私たちもそうでした、本とか雑誌新聞の記事を鵜呑みにする方が間違っていると言われればそうなのですが、やはり口では”こんなものそのまま簡単にできるとは思ってないよ”と言っても、心の奥では俺ならできるよなんて思っているものです) 

     初心者で旅行入門したてのひとは、航空券だけを買って後は安宿に泊まって自由旅行を安くあげようとは思わないでください。それがすいすいできるのは中級者になってからのことで、最初は無理です。初心者はすべてのことに時間とリスクをかけて、費用を支払いながら慣れたり覚えたりすることが無数にあります。

    特に自作旅行に当たる「安くて気ままな自由な旅」をするには、気の遠くなるほどの労力と根気と犠牲を払わねばなりません。先ほどマニアは「常にどんなところでも旅行のことを考えている」と言いましたが、少なくとも数年間はそうでなければ旅行には慣れてきません。 航空券のみを買って現地後払いの自由旅行は、どんなに安宿に泊まったり、食費を削ったとしても、トータルで考えると一番経費と手間のかかる贅沢な旅行なのです。

    **と言うところで航空券一般の話はここで終わり、次は実際の航空券の利用方法に入ります、脱線しないことを祈ります。たぶん次の次くらいで実際の航空券の利用方法には入れたら良いなと思っています***

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