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「トラベルメイト98」
  1. 【 旅行商品の買い方(3)】

    話題は(2)から続きます

     スキーの場合で考えてみます。スキーの初心者は最初にスキーを履いたときそれが平地であってもちゃんと立つことさえできません。それが何回も練習を続ければだんだん自分の意のままにスキーを操れるようになり、急斜面とかこぶのあるところもがんがんとばせるようになってきます。そうなってからやっとスキーの楽しさがわかってきます。

     そこにいくまでどれだけの費用と手間がかかるかおわかりになると思います。スキーでそうなら旅行はもっと高度なお遊びです。そうであるなら初心者の頃からやすくていい旅行をする方法があったり、現地の人とすばらしい出会いがあったりする事はちょっとおかしいと思いませんか。

     たとえばスキーの記事を書く人たちを例に取ってみてもよくわかります。書き手のいい悪いうまい下手は別としてもスキーをしたことのない人とか、1回しか滑ったことのない人はまず原稿を書けません。楽しく滑れるようになった後もそれなりにたくさんの知識と体験があって初めて原稿を書くことがお仕事になってきます。そのお仕事を初心者の方は読んでスキー体験のスタートを始めます。リフトから降りて山頂からみる一面の雪景色、コースの周りにある樹氷、風を切って滑り降りていくスピード感そんなもの実際に本から読んだ後同じものを体験しようと思って、初心者に毛の生えた程度の時にリフトで一気に山頂へ上ったとします。山頂からみる雪景色の大パノラマは、確実に楽しめるでしょう。ここまでは本に書いてあるとおりです。

     次に一番傾斜の緩い斜面を選んで滑ろうと思って一歩踏み出します。ほとんどの人がここで後悔します。まだ来るんじゃなかった、もう少し練習してから来るべきだった。下から見ると自分でも滑れそうに思った斜面も実際に上からのぞき込むと大変な急斜面です。今から下りのリフトに乗っておりることなど格好悪くてできません。へっぴり腰の斜滑降10メートル、転ぶ、苦労して起きあがる、

    また5メートルの斜滑降転ぶ、今度は3メートルほど垂直に斜面を転がり落ちたので少し効率的におりられました。右左のスキーがそっぽを向いています、起きあがるのに苦労してると周りの人がストックで片方のスキーを止めてくれてやっと立ち上がれました、そして斜滑降今度は25メートルはいけました。とうとうゲレンデの端まで来てしまいました。滑る方向を変えないと斜滑降はできません。少しできるようになれば、キックターンという方法がありますがそんなものまだできません。スキーの金具をはずしてスキーを逆向けにして金具をはめます。ちょっと格好悪いですが転ぶよりまだましです。普通に滑ると10分もかからない斜面が一時間半かかりました、寒くて鼻水はでるし膝は疲労でがくがくふるえています 。

     こんな状況でどんな名文でスキーの楽しさを教えてもらったとしても、極限の肉体疲労と斜面の恐怖の方が勝ってしまいます。どんなにこつと工夫を教えてもらっても、スキーファッションをかっこいいものに決めたとしても、滑る前の珈琲ショップではちょっとかっこよくとも、いったん斜面に立ったら「まんま」のばりばり「初心者」です。

     旅行はもっと複雑なお遊びではありますが、基本は変わりません。意固地になって千円でも安い航空券を探したり、旅行会社の言うことはあまり信用できないから話を割り引いて聞いてもっとワンランクもツーランクも上の旅行を目指したり、裏技は絶対あるはずだからもっとたくさんの人から情報を探さなければなんて思ってはいけません。

     初心者だからぼられたりだまされたりする、これは当たっています。でも初心者ならしょうがないことでしょう。なにもわからず何の判断基準も自分の中にできあがってない状態なのですから。ものを相場より高く買ったり、トラブルの時自分の主張がうまくいえず貧乏くじを引いたり、これは初心者の頃は自分が払うべきコストの中に常に入れておかねばなりません。誰もこの部分は負担してくれません。

     以前に最初から安く合理的な旅行等できませんといいましたが、それはこのことでもあるのです。ここまで言うと、ほとんどの方はじゃあ旅行会社とか航空会社は初心者を必ずぼると言うことなのかと短絡的に考えてしまいがちですが、そうではありません。どの業界も儲かっている会社もあれば、倒産寸前の会社もあり、常にトラブルが多い会社もあれば、ほとんどお客さんとのトラブルがない会社もあります。広告一つをとっても、最初から必要な料金を乗せてる会社もあれば、一見安いのだけでも後で会費とか諸経費の名目で追加料金を請求してくるところもあります。

    ***********************************そう言う中であまり旅行の手配を頼みたくない会社の特徴は、一見すごく安くて愛想が良くて条件が他社より信じられないくらい良いはずです。***********************************

     初心者のあなたが探した情報でほかよりすごく安くて条件が良いものが見つかったとしたらちょっと考えておかしいと思いませんか。初心者のあなたでさえ探せたのですから、中級者からマニアの人たちにとってはもう周知の事実でしょう。捌ききれないくらいの人が殺到してると思います。儲かってる会社はさらにお客さんに条件をよくしてさらに発展すると思いますか。そんなことは永遠には続きません。

     お客さんにとって有利な条件は、そこで働いているものにとって通常は不利な条件になります。安くものを売ってるとしたら大量に扱わないと利益は上がりません、大量に扱うにはそれなりのしんどさがつきまといます。夜遅くまでオープンしてたり、日曜日オープンするにはその時間休めない人がでてきます。しんどいことは誰だっていやです。よほど経営者はこのあたりをバランスをとりながらやっていかなければなりません。何年かバランスを保って続けていくと、会社は安定期に入ります、創生期のような低コストの体質は消え普通の会社になっていきます。そうなるとまた別の会社が低コスト迅速手配のシステムを始めます。

     「ほらみたことか、同じ会社が永遠に低コスト迅速手配を続けられなくとも、どこかの会社が常にその役割を担っているわけだから情報を集めうまく判断すれば常にそう言う会社を選んでいくこともできるわけだ、私はそれをまさにねらっている。」

     でもこんなことが100%に近い確率でできたとしたら、あなたはかなりの旅行業界の事情通でしょう。たぶん株の投資をしても100発100中です。 むしろ初心者が陥りがちなのは、優良企業を選び出すことではなく一見条件が良さそうなあまり手配を頼みたくない企業のほうに捕まってしまうことの方でしょう。その確率の方がたぶん高いと思います。

     あなたにとって旅行の商品を買うのが最終目的ではありません。旅行商品を使って楽しむことが最終目的です。確かにほかより安く良い商品を買うことも必要ではありますが、そのために払うリスクと時間は旅行に慣れてないあなたにとって大変に重いものになってきます。それより普通なのを選んだ方が得策だと思います。

     具体的にはどうするかといいますと、たとえば航空券を選ぶときにABロード等で数社ピックアップ、聞いた値段と条件を比較して、一番高いものと安いものを捨て平均に近いものから自分にあった係員のいるところを選びます。どうもお互い何となくぎくしゃくして虫が好かないのならそこはやめます。旅行はもう旅行商品を買うところから始まっています。遊びに行くときまで嫌いな奴とか、どうも馬の合わない野郎のいるところで無理して買うことはありません。高くはない金を使うのですからハッピーな方を選びましょうよ。

    次もしつこく旅行商品の買い方を続けます。今度は、ガイドブックを一冊とりあげてその内容を吟味します。

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