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トラベルメイト片山くんが行く

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  1. 【 片山くんが行く(12) 】

     朝は快適な目覚めでしたと言いたいところですが、そうともいえませんでした。野外で寝たことのある人は解ると思いますが、始めて外で簡易ベッドも使わず地面に寝袋とかシートを一枚くらい敷いて一夜を過ごすと、熟睡してるようでも熟睡できません。次の日は必ず体が痛くなります。地面からの湿り気が上に上がってきますし。でもまあ、起きてしまえばそれなりにしゃんとします。周りの連中も起き始めて移動の準備をしています。

     例のごとくの定食、食パンに牛乳。河本と一緒に今日の作戦を練ります。昨日は、3件回りました。少し離れてるところを回ったので、今日は作戦変更で、中華料理店も含めて日本料理っぽいものを出しているレストランを近くから、しらみつぶしに歩くことにしました。昨日行ったところは日本人がいましたので日本語で交渉は出来ましたが、今日からは日本語はたぶん通じません。ただ少しは収穫はありました。日本料理店というのは昨日回った「フジ」「トウキョウカン」「サクラ」だけでほかは、日本料理を出してると言っても中華料理の片手間に中華風日本料理を出してる。それに、仕事を探しにレストラン関係を回るときには表のお客用の入り口ではなく、裏口から入って頼むこと。少しずつ、知識と知恵がたまり始めます。

     午前中午後とかなりの件数回りましたが、反応はありません。「アイ、ウオント、アーバイト」何回も繰り返しました。「ワーク」と言う言葉も知っていましたが、何となくドイツ語っぽくて良いじゃないですか。通じましたし。こういう日々が数日続きました。夜になると公園、夕食は食パンに牛乳、たまにチーズと果物、希にコーラにビール。相変わらずパラダイス通いは続いていました。当初のような興奮はありませんでしたが、見るだけはただですし、暇つぶしにピッタリです。

     何日目かの夜、数人の人達が公園で野宿してる私たちに話しかけてきました。てっきり公園の管理課の人が来たのかあるいは、警察の取り締まりだと思って緊張しました。

    「XXXXX、00000,*****」

     なに言ってるのかさっぱり解りません。でもどうも雰囲気は取り締まりではないようです。だからといって、公園での野宿大歓迎でもありません。たまに解る言葉がありました。どっから来たのとか、ホテルとかユースホステルとか、大筋ではわからんわけですから、私ら二人は「ヤー、ヤー」とうなずきながらにこにこ笑ってました。

    相手ものれんに腕押しでどうしようもないと思ったようで、ほかの連中の所に言って話を始めました。あとで回りに野宿してる連中に聞いたところ、月の内何回かは回ってきて安いホテルとか,YHを紹介してくれて、野宿はよくないよと説得しに回ってる民間の人達だと言うことでした。公園の管理もするみたいで、本格的なキャンピングなどをして火を使ったりするとどえらく怒られると言うことでした。シートを敷いて寝袋でごろ寝するくらいはまあ大目に見てくれるようだとのことです。

     野宿してる人達はアメリカ人とかドイツ人が多く日本人は私たち二人だけでした。コペン到着後数日が経っていました。まだまだ言葉は不自由でしたが、野宿している旅行者同士では何となく片言の英語で意志の疎通が出来るようになってました。

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