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病の細道

 

第34回 決心 (2002/01/27)

 

妻からメールをもらった。「これからは息子のために生きて」と書かれていた。これからの自分の道が見えたような気がした。

心臓にいつ爆発してもおかしくはない爆弾をかかえていることがはっきりした以上、もう悪あがきをしてもどうにもならない。仕事、約束、義務、義理、それらはとても大切なことだが、いくつものことはもう果たすことはできない。旅に行くことさえできないかもしれない。こうした事実にはつらいものもあるが、あれこれ迷うこともできない故に、どこかさっぱりした気持ちもある。

息子は今年の春に中学を卒業する。しかし以前から彼には普通の学校は合っていないと感じていた。この1年、自分がホームスクール形式で数学と英語を教えてきた。

その成果は予想以上のものだった。最初は分数もろくにわかっていなかったが、この10ヶ月で中学の数学はほとんど理解できるようになった。

現在、息子は中学生だが、もう高校にも通っている。通っているといっても通学しているわけではない。アメリカの高校と提携したインターネットハイスクールに在籍し指導をうけはじめた。この学校には校舎はもちろんカリキュラムや教科書もない。インデペンデント・ラーニングといって生徒自身が学びたいこと決め、目標を設定する。サポートティーチャーというコーチの指導をうけながら家で勉強する。いわばホームスクールと連携した学校なのだ。

息子はまだ子供だ。いま学んでおかなければなければならないことがある。自分はその傍らで見守ってやることができる。彼のためばかりでもない。それは、インターネットがどのような時代を切り開いていくのかという自分の興味と勉強そのものでもある。

息子のために生きる。残された時間を愛するもののために生きる。今あらためて考えてみれば、それは人生でも最高の贅沢なのかもしれない。

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