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病の細道

 

第35回 呼吸 (2002/01/28)

 

生命が終焉をむかえるとき、呼吸の停止と心臓の停止はどちらが先にくるのだろうか? いずれにしても心臓が酸素を得て働き血液を送り出すことで全身の器官に酸素を供給するとすれば、すくなくとも呼吸の重要さは心臓に劣らない、と言えるだろう。

呼吸も心臓も自律神経によって無意識のうちに活動している。だが、興味深いことに、呼吸は意識的にもある程度コントロールできるのに対して心臓の動きを意識的に変化させることはできない。

もう何年もお世話になっている歯科医の先生は、いつも歯を見る時間の何倍もかけて呼吸法の指導をしてくれる。いつも「そんなもんか」とぐらいしか思っていない出来の悪い生徒だったが、今回の入院でそれがいかに大切なことなのかはっきりわかった。

今の自分には、心臓の状態をモニターする3つの電極盤が胸に、血液中の酸素濃度を測るためのセンサーが左手の小指につけられ、小型発信機から測定データ信号が発信されている。発信機には小さな液晶モニターがあり、酸素濃度の数字がリアルタイム表示される。

95以上が望ましいとされているが、呼吸が浅いと92ぐらいまで落ちてしまう。そんなときには教えられた呼吸法を思い出しながら深呼吸を繰り返すとすぐに98ぐらいに回復する。誠にその効果は目覚しいものだ。また、さらに驚くのはその反応の早さだ。呼吸した酸素がいかにすばやく全身に供給されているのかよくわかる。

今日、先生からメールをいただいた。その中に「健康面でいえばいつもいっているように、いかに省エネで呼吸をするかだと思います。座禅はいかにからだの動きをすくなくし、呼吸をするかです。ゆっくりやってみてください。」と書かれていた。先生は何年にもわたって毎朝30分の座禅を実践されており、その体験からの言葉にはかりしれない重さを感じた。

心臓の悪い自分でも呼吸法を実践することはできる。心臓の働きのもとに酸素があるとすれば、呼吸法は心臓や血管にも歓迎されるにちがいない。自分の生命に対して自分でできること。すべての源は呼吸にこそあるのかもしれない。

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