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病の細道

 

第38回 糖尿マウス (2002/01/31)

 

今朝のAsahi.comのトップは、京大で、万能細胞使った「糖尿マウス」治療に成功した、というニュースだった。

まず、マウスにも糖尿があるということに驚いた。イヌやネコにも糖尿病が多くなったというのは知っていたが、マウスまでとは。ということは、食物を食べて消化吸収する動物はすべて糖尿病になる可能性があるということだろうか。

記事によると、「万能細胞と呼ばれる胚(はい)性幹(ES)細胞」つまり「マウスES細胞の培養で、加える物質やその時期など数百種類の条件を調べるうちに偶然、培養した細胞の70〜80%をインスリン分泌細胞にする方法を見つけた。」「この細胞群を、3匹の糖尿病マウスの腎臓
皮下に移植すると、移植前に約500ミリグラム(血しょう1デシリットル中)だった血糖値が、すべて200以下に下がり、糖尿病治療の実験に成功した。」

この治療法が人間に適用され確立するのはまだ先の話だが、とりわけ、生まれながらの糖尿病(1型)で最終的にはすい臓の移植に頼らなければならないような人には朗報に違いない。簡単な手術で済むようになれば、インシュリン注射をしている2型の患者も恩恵を受けられるかもしれない。

細胞工学の最前線のニュースに30年前の学生時代のことを思い出した。友人が特殊トランジスタをつくる実験をしていた。詳しいやりかたは憶えていないが、シリコンウーハーの上にいろいろな試料を焼き付けてその性質を測定する。それらしきものは1000個に1個もできないらしく、卒業までに1個もできないかもとぼやいていた。

その後の電子工学の発展は目覚しく、いまや数百万のトランジスタをもつICチップも当たり前だ。万能細胞にさまざまな物質を加えて培養するという手法はトランジスタと同じだ。細胞工学の発展を電子工学になぞれば、まだまだ始まったばかりといえるかもしれない。今後が楽しみという反面、病気を克服した世界というのを想像するとちょっと恐ろしい気もする。

それにしてもこのパソコンのマウスはときどき調子が悪い。もしかしてお前も糖尿病か?

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