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病の細道

 

第48回 病院とインターネット2 (2002/02/12)

 

インターネットは世界中のコンピュータを結ぶネットワークだ。
広い意味では人脈とかグループの連携などもネットワークというが、コンピュータの世界ではコンピュータ同士が相互に通信して対話できる状態をネットワークという。一台一台は動いていても通信できなければネットワークにつながっていることにはならない。

コンピュータネットワークは純然とした技術的な規約の上に構成されている。実際にはさまざまな規約が存在するが、インターネットではTCP・IPという通信規約(プロトコル)で運用されている。コンピュータをこの規約に合わせて設定してインターネットに始めて参加できる。

インターネットは非常に多くの人に利用されているので、メールやWWW、掲示板、ファイル転送などよく使われるプログラムは利用者があらためて作らなくっても良いものがたくさんある。しかもたいていは無料だ。このために誰でもすぐにインターネットを利用できる。

インターネットは境界のないネットワークだが、この技術を流用して限られたある特定の組織内だけで運用することもできる。こうしたネットワークのことをイントラネットという。会社などでは、コンピュータ同士を直接ケーブルで接続してLAN(ローカル・エリア・ネットワーク)を構築すればすぐにイントラネットを立ち上げることができる。社内の連絡や情報の共有はインターネッ
トの技術をそのまま借用するので安くて簡単だ。

今度入院する予定になっている県立病院は最近建て替えたばかりで、それにともなってイントラネットもとてもよく整備されていて沖縄でも最先端をいっているらしい。いたるところにパソコンが置かれて利用されている。医療情報の共有のほかメールでの連絡、掲示板によるお知らせなどのほかネットミーティングなども利用されているのかもしれない。この病院は救急指定病院であるため24時間体制なので、勤務時間の異なる人との連絡や打ち合わせにはとても便利ではないかと思う。イントラネットの活用事例としては典型的といえるだろう。

どんな会社や病院であれ、資金があってイニシアチブをとる人がいればイントラネットは構築できる。しかしこれを組織外のインターネットにまで広げようとすると途端にセキュリティという難しい問題が出てくる。もちろんイントラネットにもセキュリティの問題があるが、指紋照合によるログインや利用方法などを徹底することでかなりガードすることができる。

しかし、インターネットでは相手は外部の不特定多数であり、利用方法を徹底することはむずかしい。パスワードによるログインにしても利用者のパスワード管理がいいかげんであれば役にたたない。「なりすまし」による被害も多い。

インターネットの利用を脅かしている最大の問題はコンピュータウイルスだ。ウイルスは主にメールによって感染する。その感染力はすさまじく、種類によっては半日もかからないで世界中に広
まってしまう。ウイルスに感染するとデータを盗まれたり、改ざんや破壊されたり、また自己増殖するために送信したメールにくっついていって相手に感染していく。

病院のイントラネットがもしインターネットに接続されていればこうしたウイルスが頻繁に送りつけられてくることになる。広く公開されたメールアドレスなどでは受信した7割以上がウイルスに感染していたという例も知られている。もし病院のネットワークがウイルスに感染し、カルテが改ざんされたり、処方箋が書き換えられたりしたら恐ろしいことになる。

こうして考えると、イントラネットを積極的に推し進めている病院であっても、ウイルスから身を守るためにインターネットに対しては二の足を踏んでも当然なのかもしれない。

「君子危うきに近寄らず」か?

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