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病の細道

 

第49回 病院とインターネット3 (2002/02/13)

 

もし病院がインターネットからのウイルスを恐れてイントラネットの整備だけに終わるなら新しい時代は来ないだろう。イントラネットは病院のスタッフが情報交換のために使うものであって、患者側からの視点があまりないからだ

今回の入院に際して、ベッドにインターネットの接続環境があればと何度も思った。とりわけ長期入院ともなればそこが生活の場になるわけだし、人によっては仕事の場にもなる。

外出が許されなければ、人に合いに行くことも本屋にいくこともできない。しかしインターネットがあればメールで連絡することもできるし、どんな本でも注文できる。仕事だってネットミーティングの機能をつかえば会議に参加することもできる。顧客からの問合わせにもすぐに応えることもできる。

闘病にあたっては、担当の医師とメールでやりとりできれば、直接会って質問しにくいことや聞き忘れたことなどを確かめたり、こちらの希望を冷静に伝えることもできる。聞きちがいや勘違いもなくなるし記録にもなる。後で読み返して理解を深めることもできるだろう。

さらに重要なことは、治療方針で何か重要な決断を迫られたとき、インターネットでいろいろな人の考え方や事例を参考にできることだ。現在の入院という環境は極端にいえば情報隔離された状態なので、医師の意見だけしか届かない危険がある。このような状況で意思決定を求められれば、これは洗脳環境と同じだことになってしまうのではないか。ベッドからインターネットで第三者の意見を調べることができれば、自分の考えをしっかり持つことができ、後悔もしないで済む。

外来の患者にとってもインターネットのメリットは大きい。診察の予約や変更をどこからでもできるのは便利だし、毎日の体温や血圧、血糖値、投薬や食事の状況などをインタ−ネットで病院のデータベースに報告して医師の指示をメールで受け取ることもできる。

このように病院と患者の関係でいえば、病院のイントラネットよりもインターネットのほうが重要だ。「君子危うきに近寄らず」で病院がインターネット環境の整備に消極的だとしたら大変残念なことだ。

コンピュータネットワークのセキュリティは最終的には技術的な問題だ。100%安全な自動車がないのと同様に完全にセキュアなシステムもあり得ないが、いろいろ工夫すればセキュリティに強いシステムを構築することはできる。

「虎穴に入らずんば虎児を得ず」。病院は新しい時代に向かってインターネットに挑戦してほしい。

 


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